Haiku in English 〜英語の俳句〜
Melting snow falls down
from the roof, to the ground
Goddess of Spring breathing on
by Takafumi
知っている方にとっては当然、でも結構知らない人がいると思われることの一つ・・・。
それは、海外で、英語で俳句を作る文化がかなり広まっていること。
17から18にかけて、アメリカのユタ州の公立高校に交換留学した時に、文学の授業で、私はそれを知ることになった。
冒頭の一句は、その頃作った一句。
2002年の冬季オリンピックの会場だったことを覚えている方もおられるだろう。
ロッキー山脈の西の端に位置付けられるワサッチ山脈の麓にある。標高も高く、かなり雪が降る。
多くの雪深い里と同じく、春は本当に待ち遠しい季節だ。
屋根の雪が陽光に溶けて滑り出す。ああ、春が来たんだなぁと実感する。
ところで俳句がなぜ海外に広まったかというと、それは次の通りのようだ。
第二次世界大戦後、日本の文化である俳句は海外にも伝わりました。
2010年代になると、欧米、南米、中国、インド、ロシアなど、まったく文化や生活が異なる国々にも浸透し、人気を博しています。
欧米では、ローマ字で「HAIKU」、中国では「漢俳(かんばい)」という名前で呼ばれています。俳句が海外に広まったのは、イギリス出身の文学者レジナルド・ブライスの功績が大きいです。彼は日本文化が大好きだったようで、第二次大戦前に英語教師として日本にやってきました。戦争が始まると敵国の人間として強制収容所送りにされましたが、なんと日本を支持して、日本国籍を取得しようとしたというから驚きです。
その後、1949年にブライスは『俳句Haiku』第1巻を出版し、英語圏に俳句を紹介しました。彼の残した俳句関連の著書には、『俳句Haiku』全4巻。俳句の歴史History of Haiku』(全2巻)があります。
海外で人気が出た訳とは?
最大の理由は「短くて誰にでも作れるから」です。
欧米では、詩や小説などの文学は、知的エリート層のものであり、学のない庶民がやるのは「詩の堕落だ」という偏見がありました。
19世紀に有名な童話作家アンデルセンが、デンマーク語の話し言葉で小説を発表した時なども、こんな物が小説と呼べるか! と文学界から大変なバッシングを浴びたそうです。それまでの小説は修飾句を多用した文語体で書かれているのが常識だったからです。しかし、アンデルセンの登場と、その作品のヒットにより、この認識が徐々に崩れ始めていきました。そこに俳句のような短くて簡単に作れる詩が登場し、詩の創作が誰でもできるようになったのです。
また、欧米では自然を軽視し、環境破壊などを推し進めていましたが、環境問題が地球規模で深刻化したことから、これではダメだということで、自然との調和を目指した教育が行なわれるようになっています。
俳句は季語を通して、自然と親しむことができる文化ですので、子供たちに自然の大切さを教えるのに適しています。
このような背景から、アメリカの多くの小学校で俳句が教えられるようになっているのです。現在(2014/12/05 本稿執筆時点)では、「草枕」国際俳句大会という俳句を通して国際交流するためのイベントも日本国内で開かれるようになっています。
日本に帰って大学(関西学院大学)に入学したら、私たちの世代の入試対策のバイブル「試験に出る英単語」(入試までの4か月、毎日、真剣にこの本で英単語を覚え、おかげで合格できたと言っても過言ではない)の著者で都立日比谷高校の教諭だった森一郎先生が教授になっていて、英語の授業で教えて頂いた。
ちょっと感動し、心の中で手を合わせて、思わず「お世話になりました!」と言ったのだが、森先生が英語の俳句の良さを力説され、「君たちも作ってみたらいい」と勧めていたのがとても印象に残っている。森先生は「俳人」でもあった。
ちなみに「試験に出る英単語」はウィキペディアによると、
「(青春出版社)の初版の1967年以降、2006年現在までに累計1500万部を超える大ベストセラーとなり、大学受験参考書・英単語集の金字塔を打ち立てた」
という凄い教材である。
俳句と英語とアメリカと私の奇妙な縁の話。