お江戸日本橋・麒麟の翼と桜の暖簾
先週、天気の良い日に八丁堀に寄る予定があった。次の待ち合わせが神田で、お昼をはさんで少し時間があったので、日頃の運動不足の解消も兼ねて、思いきって歩いてみた。スマートフォンの地図アプリで見ると、徒歩約40分の距離のようだ。
途中、首都高横の花王本社を過ぎ、証券会社の立ち並ぶ兜町を過ぎて進んでいくと、日本橋が近づいてきた。
お江戸日本橋は東海道五十三次の起点で、江戸の商いの中心だった。東野圭吾の「麒麟の翼」の舞台になっている麒麟像に近寄ってまじまじと見てみた。麒麟自身は架空の生き物のはずだが、造形はとてもリアルで今にも動き出しそうだ。明治44(1911)年の日本橋架け替え時の設置だから105年前のものだけれど、その明治という時代の意気込みや高い理想が、力強い後ろ脚やすっきりと伸びた前脚、そして飛び立つための翼を支える筋肉にそのまま脈打っている。
川を渡り橋を越えると日本橋の象徴である大棚、三越がある。その入り口には、春らしい桜をあしらった暖簾が揺れていた。前の中央通りを神田側に進むとライオンが出迎えてくれる入り口にも。
これだけ天候が寒かったり暖かかったりすると、なかなか素直に「春だなぁ」という気分に浸れないのだけれど、そこには確かに春風が吹いていた。粋だなぁ。